塩野七生ファンミーティング(2007.3.25@東京)

というタイトルではなかったが、「ローマ人の物語」完結を記念した御礼参り、チケット無料。
塩野さんご自身は講演会というのはあまり好きでないからやりたくないが、15年にもわたってシリーズ刊行できたのは買ってくれる読者のおかげ。だからお礼を言う機会を設けたかったそうだ。冒頭塩野さんが10分の予定のところを2~30分語り、聴衆から集めた質問票に対して答えるという形をとった会で、意外なエピソードを知る良い機会だった。思い出せる範囲で印象に残った話を書いてみると…

なぜローマ史かを書いたか。
作家が書く歴史は人物に特化した歴史であり、自分が読みたいと思うローマ史、ローマ通史を書いた作家がいなかったから。

なぜ1年1冊、15年で完結を宣言して刊行したのか。
ローマ人シリーズを書き始めたのが55歳、15年後は70歳。15年で上げないと生きていないかもしれないと冗談めかしておっしゃっていたが、当日配布された資料とトータルすると「体力的なこともよりも、疲れることで物書きとして筆力の衰える」ことが怖かったと。素人考えでは、書き続けることで筆力はスキルアップするものだと思っていた。

書き続けているうちにスランプにならないのか。
書けない時も逆にのっている時も1日5時間と決めた執筆時間はキープする。そして、時々すべきことの真逆のことをする。つまり、書く=お金を稼ぐ⇔お金を使う。彼女の場合はアルマーニのスーツを買ってお出かけ、コンドッティ通りの宝飾店で売っていた指輪を傍らに置いて執筆etc.だそうだが、ケタは違っても“自分にごほうび”理論はここでも実証された。
仕事のとっかかりに前日書いた部分を読み返して直しを入れることから始めるので、のっている時も無理に長時間書かないで出だしの2~3行だけを書いておけば翌日そのまま好調をキープできるそうだ。いい時も悪い時も無理をしないで続けることが大切なのね。

そして、なぜお礼なのか。
当初彼女自身も出版社も3万部位売れるだろうと考えていた。定期的な原稿料がなく、印税収入に頼る“書き下ろし”では、「ローマ人」を書く他にも仕事をこなさなければ取材費も出せないし、生活が成り立たない。だが好評だった(06.11月の時点で第1巻のハードカバーだけで29万9千部)おかげでどうしても断れない仕事以外は他の仕事をすべて断って、「ローマ人」のことだけに頭も時間も費やすことができた。これは作家としては理想的なことで、この環境を作ってくれたのは他でもなく本を買ってくれた読者である。だからお礼を言いたいと。そんなこと言われちゃったら、続きも買って読まなくっちゃと思うじゃないの。文庫だけど。

そのほかにも正しい理論武装の仕方(?)だとかいろいろな話題を話術でなく言葉で楽しませてもらった会だった。さすがは言葉のプロ。共感できる、できないにかかわらず、やっぱり頭のいい人の話は面白いなぁ~と実感。この日のお礼にこれからもあなたの本を買いますから、御礼参り&休養の今年があけたら、ちゃんと仕事をしてください。

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*写真は新潮社HPから
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by s_fiorenzo | 2007-03-31 16:28 | ITALIA | Comments(2)
Commented by moana_kapua at 2007-03-31 20:22
おおおお。そんな催し物があったんですね。
私は文庫待ちですし、しかも文庫刊行のもまだ全部読んでいないヘタレファンですがローマ人の物語(も、他の歴史ものも)大好きですわー。

>共感できる、できないにかかわらず、やっぱり頭のいい人
私も塩野氏にそういう印象を持っています。
Commented by s_fiorenzo at 2007-04-01 18:41
>Ciao!moana_kapuaさん
新潮社の新刊の新聞広告の片隅にちっちゃく実施要項が載ってたんです。
私は通っているイタ語講座関係でチケットをGET。
写メを撮る人もいないし、とっても大人っぽい会でした(笑)


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