MINE VAGANTI:あしたのパスタはアルデンテ

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主人公トンマーゾ・カントーネ(リッカルド・スカマルチョ)は兄アントーニョ(アレッサンドロ・プレツィオーズィ)、幼馴染アルバ・ブルネッティ(ニコール・グリマウド)とともに家業のパスタメーカーの共同経営者として名を連ねるため故郷LECCEに帰ってきた。が、パスタにも会社経営にも全く興味はなく、ローマの大学の経営学部に行ったはずが内緒で文学部を卒業し、作家を志し、そしてゲイである。カントーネ家、ブルネッティ家が揃った食事会の席でそのことを打ち明けて勘当され、会社経営は兄に任せてローマに戻る計画を兄に打ち明ける。ところが当日、トンマーゾの発言を制したアントーニョは「僕はゲイだ」と先に告白、勘当されて出て行ってしまい、怒りと驚きで心臓発作を起こした父に頼まれトンマーゾは家業を手伝うハメになり…。

舞台が同じイタリア人から見ても保守的と言われる南イタリアであることが、コメディーで隠しながら同性愛者の偏見との葛藤や孤独、疎外感、家族の無理解といった問題、さらに同性愛だけでなく、自分らしく生きることの難しさを語っている。

原題『MINE VAGANTI』は直訳すると「浮遊機雷」、水面下に漂っていて触れるとどかん!っていう爆弾です。なのにイタリア映画祭2011に出品された時は『アルデンテな男たち』、そして劇場公開時には『あしたのパスタはアルデンテ』…。たしかに『浮遊機雷』じゃ何の映画かわからない。でも主人公の家業がパスタメーカーだからって、あんまりな邦題じゃないの。

劇中では会社の創業者でもあるノンナ=おばあちゃん(イラーリャ・オッキーニ)のことをこっそり“mine vagantiだから”と言っているが、ノンナ以外にも誰もがそれぞれ触れるとどかん!といく秘密なり弱みなりをもっている。
でもノンナは他人の望む人生なんてつまらないこと、そして叶わない愛には終わりがないから永遠に想いが消えなくて苦しむことを若いトンマーゾやアルバに教え、自分の意志を貫こうとするアントーニョに理解を示し、本当に愛していた人のもとへと自ら旅立っていく。
冒頭、アルバにエキセントリックな行動をさせることで自分の感じるままに生きようとする人物像を描きたかったのかもしれないが、少々無理を感じた。それよりも全編を通してゲイであるトンマーゾに想いを寄せるアルバのまなざしから、切ない想いがあふれすぎて、もう。
過去と現在が混じったエンディングは受け手によって感じ方が違ってくるだろうが、それぞれの人がもつ個性への理解と寛容さを感じる美しいシーンだった。

そしてウイイレかFIFAか忘れたけど、サッカーゲームの試合の合間に流れてくる『50MILA(チンクァンタ・ミラ)』が主題歌に使われていて、リッカルドも腰をふりふり歌っている。
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Tommaso Cantone:Riccardo Scamarcio
Antonio Cantone(兄):Alessandro Preziosi
Alba Brunetti:Nicole Grimaudo

Vincenzo Cantone(父):Ennio Fantastichini
Stefania Cantone(母):Lunetta Savino
Nonna:Ilaria Occhini
Nonna da giovane:Carolina Crescentini
Luciana(叔母):Elena Sofia Ricci
Elena Cantone(姉):Bianca Nappi
Massimiliano Gallo(義兄): Salvatore

Marco(彼氏):Carmine Recano
Andrea:Daniele Pecci
Davide:Gianluca De Marchi
Massimiliano:Mauro Bonaffini

Patrizia(父の愛人):Gea Martire
Nicola(大叔父):Giorgio Marchesi

Regia:Ferzan Ozpetek

2010,Italia
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by s_fiorenzo | 2011-09-17 01:42 | FILM | Comments(2)
Commented by amore_spacey at 2011-09-19 00:32
いつもちょっぴり不思議に思うのは
イタリア映画祭上映時とロードショーで、タイトルが激変すること。
やっぱり興行成績をあげるために、ベタなタイトルに変えちゃうのかしら?
スカマルチョ、どんどん成長して、いい役者になりそう。嬉しいな。
   ↑あんなに昔は嫌いだったのに…。

↓Si puo' fare この作品、知りませんでした。ので、メモメモ。
Commented by s_fiorenzo at 2011-09-19 14:05
>Ciao!spaceyさん
タイトルはね~ホントに大いに不満ですよ!
でもモニカ姐さん絡みだとヘンなタイトルのおかげで、この辺境ブログに迷い込む人が増えてラッキーかも ;P
スカマルチョは『3metri…』で初めて観て、イタ語わからないなりに「この人大根かも…」と思ったものですが、表情も豊かになったし、いいですよね~
特にこの作品は“体当たりシーン”もあるし、相当がんばってる感じがします。

『Si puo` fare』は、こちらでは“イタリアで1年以上のロングラン上映の大ヒット作” ということになってますが…煽りかしらん?


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